円卓会議

お仕事で

群馬県富岡市では、市民の声を聴き、まちづくりの行動に繋げてもらおうと、公民館単位で「円卓会議」なるものを開催しています。私も、5地区の公民館での会議をお手伝いしました。防災、地域行事、子育て、役員のなり手不足、などなど課題は山盛り。でも、みんなでワークショップを繰り返すうちに、おもしろい案が続々と。各々プロジェクトに整いました、あとはGO!ですね。

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円卓ですから、上座も下座もありません。住民も行政もまあるくなって、です。発言しない人はいません。長い演説の癖がある人は、私がストップします。後ろ向きのことは言わない、やりたいこと、やるべきことをどんどん出して整理していきます。

テーマや地区でチームに分かれて、だんだん煮詰まってきた案を発表。回数や、やり方もその公民館や地区によっていろいろ。画一的でないところが面白い。こういうやり方だと、若い人や女性、ずっと勤めてきて地域に知り合いがいないからと飛び込んできた方も、胸を張って参加できます。平等に発言や発表の機会が回ってきますから。

市の若い職員さんが、時間の管理や進行役で「応援隊」として参加。この方々が実にうまく黒子になって、邪魔しない態度で居てくれる。回を追うごとに、いい感じになってそれも嬉しいことでした。この応援隊がなくても、今後、地域だけで会議ができるようになるといいですね。でも、職員の方々にはとてもいい研修になる場面でもあります。応援隊がいることは富岡市のいいアイデアだと思いました。

ばらばらに山ほどでたアイデアを3回くらいのワークショップで整理し、磨いていくと、実行プランに近くなってきます。そして、今日以降、即何か始めてみたくなります。企画書レベルになってくると、単に言いっぱなしの会議とは違う「自分ごと」になってきます。地域の昔の写真の横で、新しいプロジェクトが書かれていく、なんだかいい時間でした。

公民館ごとの個性が出ます。「円卓会議」という名前が固いので、そもそも会議の名前を公募し、投票し、決めたところ。会場を花で飾ったり、名札に動物の絵があったり、ワクワクする設えに凝ったところ。畳に座るのはしんどいからと、板を渡して会議机を並べてくれたところも。おかげで足が楽にみんな話せました。いろいろ工夫があるなあ~と、全体のコーディネートをしている私の方が、おもしろがれました。

いつもの公民館ですが、私のようなよそ者が入ると「あの正面の額、なんて書いてあるの?」なんて素朴な質問が出ます。そんな話題も行政のカチカチの会議とは違います。みんなには当たり前のことを「こしね汁?何それ?」なんて私が聞くので、「コンニャク、椎茸、ネギの汁」なんてあらためて説明があります。「それで汁じゃなくてポトフにすれば?」なんてまた言う私。「そうそう、公民館でヤギを飼ったらいいかも。飼おう、飼おう!」と騒ぐよそ者野口意見については、「いいことはわかるけど、だんだんにね」と、現実をしる住民の方々に却下、なだめられました。そういうこともまた面白いのでした。

決めた案を既に行動し始めているようです。「実際に歩いてみた」「作りたい印刷物の見積もりをとってみた」「必要なものを買っている」「円卓会議が終わっても、集まっている」とか。そうそう、プロジェクトというのはいつから、ということではなく、思いついたその時から始まっているのですから、動き出した方がどんどん面白くなります。

今年度の円卓会議の一番最初、ある公民館で「ご自由にどうぞ」と貝殻草の苗の配布がありました。通ってくる地域の方が種を蒔き、皆さんにおすそ分けなのだそうです。地域づくりのお手伝いをしている身でありながら、私自身が私生活で公民館に出向くということはありません。そもそも都市部では苗を分けてくれるような、人間関係のある場がないに等しいものです。

苗をいただきながら「身近に公民館があるっていいなあ~」と思いました。家以外に、自分の居場所がある安心感です。ここで人が繋がり、地域が良くなることをみんなで楽しくできれば、それは東京に遊びに行ったり、ゴルフをやったりするよりもずっと身体と心に健康な“レジャー活動”になることでしょう。公民館は大事なところです。円卓会議の場、発案実行の拠点となるべく、私も混ぜていただいて、応援しなくては。

いただいた貝殻草の苗、見事に花をつけて、夏から咲き続け、今も私の千葉市にある実家の庭をにぎやかにしてくれています。富岡市の円卓会議のこぼれ花です。